内部告発後に命じられた出向を拒否し、懲戒解雇された大王製紙の元課長の50代の男性が、解雇無効などを求めた訴訟の判決で、東京地裁(鷹野旭裁判官)は14日、「解雇は無効」
と判断し、勤務していれば受け取ったはずの未払い賃金の支払いを命じました。
判決によりますと、経営企画部の課長だった男性は2012年、海外の関連会社で決算処理に不正があったなどと告発する文書を作成し、経営陣と対立していた創業家の関係者に不適切会計に関する内部告発状を手渡すなどしました。男性は就業規則違反で降格処分とされ、さらに関連の物流会社への出向を命じられましたが、出向命令に従わなかったところ、13年3月に懲戒解雇されました。
鷹野裁判官は判決理由で、告発内容について「伝聞や推測を根拠としており、裏付ける客観的資料が乏しく、目的も経営陣を失脚に追い込むためで正当性を欠く」と指摘し、「真実ではない告発状で会社の名誉を毀損し、就業規則違反による降格処分は不当とは言えない」としました。一方で、関連会社への出向命令については「経験がほぼない物流部門への出向命令は合理性がなく、実質的に懲戒が目的だった」とした上で、人事権の乱用だと指摘、命令拒否を理由とする解雇も無効としました。
同社は「判決は正当な人事異動を無効としており、承服できない」とし、即日控訴しました。
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